20歳でマンガ家になることを志し、17年間にわたる努力の末、マンガ家として2016年に独立・起業を成し遂げた鳳頼英知さん。
そこに至るまでのお話や、今後の展望をインタビューしたところ、どの職種の方にも参考になるお話がたくさん聞けましたので、ぜひ読んでみてください。
『マンガ家として食べていけるようになるまで、17年間も努力を続けた』
ことだと思うのですが、途中で諦めようとは思わなかったのでしょうか?
「自分にはマンガ家になる能力がない」
というのを認めることが受け入れられなかったのかもしれないですね。
マンガって実はすごく描くのが難しくて、例えば、正面の顔、横向きの顔、下向きの顔などを同じ人に見えるように描くのだけでも、すごく技術がいるんです。
最初の頃は、1日マンガを描こうと決めて1日中描いて、夜中になってようやく1ページ描けた。
しかもやっと終わったと思って見てみると、かなり下手で、それが自分の無能さの証明のように感じられて、すごく苦しんでいました。
あとは大学受験の時に、すごく勉強を頑張って、最終的には市立大学に受かったのですが、
「結果を出すために努力して、はじめて結果を出した」体験をして、
「結果のために努力すれば、結果は出る」と思いました。
そういったところから、何かやりたい事にチャレンジしたいなと。
マンガの他にはピアノとかが好きだったのですが、色々なことを表現できるマンガに魅力を感じまして、
「マンガ家になろう」
と決めました。
大学では野球とアルバイトもやっていたのですが、勉強して野球をやってアルバイトをしてマンガも描く、というのは無理と思いまして。勉強を捨てました。
もちろん、親や友人からは色々と言われましたが(笑)。
というのを、ずっと繰り返していました。
「これくらいの絵は描いて欲しい」
と画力に関して及第点をくれたんです。
絵を認めてもらえました。
ずっと、書いても書いても、これで良いのかなと、と思ってやっていたので。
それをきっかけに絵がさらに伸びましたね。
3ヶ月短期で働いて、2ヶ月マンガを描く、というような感じで。
でも毎回、
「次の作品でなんとかなる」
と思って描いているのですが、なかなかそうはならなくて。
それで週4で働けて、比較的、給料の良いところをと思って、パチンコ屋さんとか携帯ショップとかで働くようになりました。
「もう君は無理だから来るな」
と言われました。
すごいショックだったのですが、
それをきっかけに色々チャレンジしてみようと考えて、
自分が本当に書きたいマンガをネットに公開してみたり、
マンガ家の名刺を持って、ビジネスマンの交流会に行くようになったりしたんです。
「4コマ漫画いくら?」みたいな感じで。
マンガ家を目指す人は「1ページ1万円」という感覚があって、実際はそんなにはもらえないのですが、、、
そこで「4コマ漫画(半ページ)を1万円」、
というと「安い!」と言ってもらえて。
さらに別の人に「2万円」、と言うと、それでも「安い!」とまた言ってもらえたりして。
それで結構、買ってもらえるようになりました。
「お前、独立しろ。お金は銀行で借りられるから」と言われました。
「マンガ家でお金なんて貸してくれるの?」
と思いましたが、500万円借りることができたんです。
マンガ家志望のまま人生を終えるのだったら、借金くらいしたって良い、と思いました。
それをきっかけに、派遣の仕事を辞めて、プロの漫画家を名乗ることにしました。
いつも行っている交流会で、講演に来た経営者の方と名刺交換した時に、
「ノベルティ用のマンガを作りたい」と言われました。
それで後日、会いに行ったら、
「ノベルティで配るのであれば、200ページくらいかな?」
と言われたので、それを受注できたのです。
単発、運頼みで受注するだけでなく、継続的な仕組みを作っていかなければならないと考えて、今、いくつかの取り組みをしています。
今は
「日本一社交的な漫画家」
と名乗っていますが、それは
「何もない」
からそう名乗るしかないわけで、もっと力をつけないと、と思っています。
それには「お金」と「影響力」が必要だと思っているのですが、
お金はあまりなくても影響力はつけられる、
と考えて、SNSでイラスト投稿を始めました。
フォロワーはTwitterが5,000、インスタが1,000くらいです。
ここ1か月で3,000フォロワーくらい増えているので、そう遠くないうちに可能かなと。
これが武器になればいい。
仕事に繋がってくる可能性も出てきます。
僕はフォロワー5,000でも、「いいね」が200とか超える時があります。
訴求力は高いですね。
ここに反応してくれる人って自分が狙いたいユーザーでもあるので、フォロワーの濃さも確保できます。
もちろん画力やストーリーといった質の部分も大事なのですが、
それよりも大切なのは「プロモーション力」だな、と。
売れているマンガはプロモーションが上手い。
なので、SNSを強化して、影響力、プロモーション力を身につけていくのは1つの手段だと考えています。
そこまで行くと、自分がマンガを描いた時に、そのフォロワーさんの中から、5000人は買ってくれる、というようなことが起きてきます。
そうすると、わざわざ出版社を通してマンガを描く必要もなくなります。
出版社を通すと、10万部売る必要がありますが、個人で本を出すなら、5,000~1万部で、十分成り立ちますので。
そういう方たちって、絵は上手いけど、商売があまり上手くないんですね。
だから自分がその部分を担う、というようなことができれば良いな、と思っています。
自分で出版社を作ってしまう感じですね。
ただ、それをやっていくためにはお金が必要です。
創作活動にはお金が欠かせませんので。
それにはSNSなどを通して、知名度を高めて、ファンを作ることです。
それができれば、お金はどうにかなると考えています。
お金を得られるようになってからはより楽しくなりました。
また、SNSにアップするようになってからは、ユーザーからの好反応を得られるので、それが嬉しくて自信が持てて、よりモチベーションが湧いてきます。
毎日、10~12時間くらい絵を描いていますが、苦にならない。
やりすぎると疲れて机に向かえなくなるけど、毎日すごく楽しいです。
一つあるとしたら「決める」ことだと思います。
僕はマンガ家になるということを「決めた」だけなんですね。
決めたから、それを実現するために頑張れた。
今の仕事がイヤであれば辞めると「決めれば」いいだけです。
逆に、辞められない、決めたくない、というのはきっと、何かしらのメリットがあるからだと思うんです。それであれば続けると「決めれば」いい。
僕も経験がありますが、決める、というのはストレスがかかります。
決めない方が楽なんですけど、決めないと幸せには慣れない。
だからそういう意味での「決める」「決断する」というのはとても大事なことだと考えています。
■日本一社交的なマンガ家 鳳頼 英知さん
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