「好きを仕事」にした人

「好き」の先にある「お客様の喜ぶ顔」を大事にしよう!~小林勉さんインタビュー~

小さい頃から「料理」と「人を喜ばせること」が大好きで、

イタリア料理の本場トスカーナで修行し、在ケニア日本大使公邸料理人などを経て、

現在は『イノベーティブレストラン「KOBAYASHI」』を経営されている小林勉さん。

「料理人を目指す人」や、「好きなことを仕事にしたい人」がどのように行動をしていけば良いのか、その秘訣を伺いにインタビューをしました。

佐藤
佐藤
小学生の頃から料理が好きだったと聞きましたが、何か好きになるきっかけなどはあったのでしょうか?
小林さん
小林さん
祖母がオーガニック食材を販売する仕事をしていたり、叔父が料理屋をやっていたりというのもあって、すごく食にこだわる家族だったんですね。
小さい時からそれで育って、市販のお菓子とか食べたことがなかったんです。

そこから料理に興味を持つようになって、家庭科で料理の授業があった後に、友達の家で復習して遊んだり、料理本に載っている料理を一通り自分で作ってみるなどしていました。

佐藤
佐藤
小学生の男子で料理好き、というのは珍しいですね(笑)
小林さん
小林さん
結構、女子が好きな遊びが好きだったんです。
パッチワーク、刺繍、シルバニアファミリー、リカちゃん人形とか(笑)
そんな感じで料理も楽しんでいました。
佐藤
佐藤
そこからさらに料理好きが加速していったのですね。
小林さん
小林さん
はい、中学生の時は、お菓子作りが趣味でした。
でも、お菓子を作るための道具って値段が高いんですね。
それで、新聞配達をしてお金を稼いで、それで道具を買って作っていたりしました。
佐藤
佐藤
それはすごいですね!
そういったことから将来は料理人を目指したいと思うようになったんですね。
小林さん
小林さん
ただ楽しいから料理を作っていたのですが、自然に、料理人っていいなと思うようになりました。
佐藤
佐藤
料理人を目指すと決めた時、周りからは「え?なんで料理人なんかになりたいの?」と言われたそうですね。
小林さん
小林さん
すごく悔しかったですね。
それでいざ、料理人として修業を始めたら、給料は安いし、長時間労働だし、殴られたりするし(笑)
それで、『これはマズい、変えなアカン』と思って、料理人を目指すだけではなく、料理人の待遇改善というか、料理人の社会的地位の向上を目指す活動もしたい、と思うようになりました。
佐藤
佐藤
料理人を目指す人は、レストランでの修行も、独立してからのお店の経営も、正直、とても厳しい環境の中でやっていかなくてはならないですよね。
小林さん
小林さん
はい、働き詰めなのにあまり儲からなかったりと、これでは親御さんや周囲の人たちが「料理人目指すなんてやめなよ」と言うのも仕方がない。

だから僕はその環境を変えたいと思うんです。
料理が好きなら、その料理だけをとことんやれる環境で、しかも80歳くらいまで長く働けて、お金もしっかり儲かる。
そんな仕組みを作っていかなければならない。

佐藤
佐藤
今、小林さんは、1日1組限定、客単価4万円という形態を取られています。
これですと労働時間も比較的、短く済みますし、高い売上も出せると思いますが、これは「新しい仕組み作り」の一環なのでしょうか?
小林さん
小林さん
そうですね。例えば3つ星レストランの有名シェフがこの形態をやるのであれば、「ああ、あの人ならできるよね」くらいだと思うんです。
でも、僕のような無名で普通のシェフがこれで生活できたら、1つの良い事例になれますし、「自分にもできる」と思ってもらえると思います。
佐藤
佐藤
でも、経営はなかなか大変なのでは?
小林さん
小林さん
そこで一工夫も入れていて、ランチタイムでは、Uber Eatsを使って、デリバリーのお店もやっているんです。
このお店は8.5坪ですが、そこで10店舗くらいのバーチャルレストランをやっています。
佐藤
佐藤
10店舗ですか!それはすごいですね!どんなお店なんですか?
小林さん
小林さん
クレープ屋、弁当屋、ピザ屋、といったファーストフード系ですね。
UberEatsという新しい仕組みを使えば、そういったこともできるんです。

メインの高単価レストランにじっくり取り組んで、予約が入らない日であれば、Uber Eatsで稼ぐ。
そんなふうに、新しいサービスを積極的にどんどん取り入れています。

好きな事をやりたいのであれば、それを実現するための方法を常に考える。これが大事だと思っています。

 

佐藤
佐藤
続いて、これから料理の道を目指す人についてお聞かせ下さい。
「料理人はキツいし給料も安いし、独立しても大変」というイメージがあります。
それで夢を断念する人も多いのではないでしょうか。
小林さん
小林さん
そうですね。そのあり方も変えなければならないと感じています。
料理人を目指す人は調理の専門学校に通い、レストランで修行し、お金を貯めて独立、というのがスタンダードではありますが、これを変えていきたい。
佐藤
佐藤
具体的には?
小林さん
小林さん
まず、調理の専門学校に行く必要は必ずしもないと思っています。

もちろん、そうしたいというのであれば全然構いませんが、僕は3回ぐらいしか行かずに辞めました。
調理師免許だって、学校へ行かなくても1万円くらい払って学科試験を受けたら取れますし。
僕はそうして、ずっと現場で働いています。

佐藤
佐藤
必ずしも必要ではない、ということですね。
小林さん
小林さん
はい。そして、労働条件の悪いレストランなどで長年、修行なんてする必要もないと思います。
料理の技術なんて、Youtubeで学んで自分で身につければいい。
佐藤
佐藤
Youtubeですか??
小林さん
小林さん
はい、料理なんて今の時代、Youtubeで1年学んだら全然できるんです。それよりも、技術よりも、「センス」ですね。
器選びとか、お店の空間作り、会話のキャッチボールとか、そういった、「センス」を磨き続けることをした方がずっといいです。
佐藤
佐藤
堀江貴文さんが、「寿司屋で何年も修行なんてする必要ない」とおっしゃっていましたが、それに近いですね。
小林さん
小林さん
はい。現場を経験する、という意味では、別に大きなレストランでなくても、街の小さなお店で短期的に教えてもらえばいいです。

給料をもらって修行するのではなく、こちらからお金払って、暴力、きつい言葉なしに、丁寧に教えてもらうんです。

そうやって3か月くらい、何軒か経験させてもらえば、もうそれでお店は自分でできます。調理の専門学校に行くよりも遥かに安上がりです。

佐藤
佐藤
すごく短い期間でお店を持つことも可能なわけですね。
小林さん
小林さん
そうですね。さらに言うと、お店をいきなり持つのではなく、近くのお店がお休みの日に借りて営業してみて、それで反応が良ければお店を作ってみる、というのが良いと思います。
ネット環境があれば、借りるお店を探すこともできます。
佐藤
佐藤
将来自分でお店を持ちたいサラリーマンでもできますね。
小林さん
小林さん
できます。ITの技術革新に乗って行けば、

オンラインで動画を流して料理教室をやったり、
UberEatsでバーチャル店舗をやったり、
SNSで希望者を募って料理人育成で収入を複線化したり、

と今までにはなかった色んなやり方で収入を得られますよね。
その中で、自分の好きなことをやっていけば良いと思っています。

佐藤
佐藤
レストラン業界も変革の時期を迎えているのかと思いますが、これからの料理人を目指す人たちはどんなことを意識していけばいいでしょうか?
小林さん
小林さん
料理の腕を磨く、肉の切り方だけを学ぶ、というのではダメで、今は美味しい料理を出せるだけでは生き残っていけません。
レシピなんて今の時代はすぐに拡散されますし、それなら家で食べる、となりますからね。

なので、料理の美味しさを「さらに美味しく感じてもらうにはどうすればいいか」の技術を身につける必要があります。

同じ料理でも暗闇で食べるのと、好きな人、海辺で食べるのは全然違いますよね。
どうやってもっと美味しく感じてもらうか、です。

それにはお客様とのコミュニケーションもそうですし、常連のお客様であれば、好みの服装やお花、好きな旅行先など、そういったのをしっかりと把握して、トータルでアドバイスできるような「あそこにいくと自分の好みがたくさんある」と言えるようになることを目指していくと良いと思います。

佐藤
佐藤
調理の専門学校に行ったり、何年もかけてレストランで修行したりする代わりに、そういったスキルを養っていくわけですね。
小林さん
小林さん
そうやって、個性的な、新しい時代のシェフが出てきて、レストラン業界が改革されていくようにしていきたいです。
佐藤
佐藤
ありがとうございます。
最後に、好きなことを仕事にしていきたい人にアドバイスはありますか?
小林さん
小林さん
僕は料理も好きなのですが、それ以上に、料理を提供して、お客様がとても喜んでくれたり、その笑顔を見たり、そういうのが好きなんです。

お客様が喜んでくれたり、感謝してくれたりしたその結果が、お金として返ってくるわけですから、人を喜ばすことの本質を忘れないで欲しいと思います。

そこを根本に据えれば、アイデアも浮かんできますし、試行錯誤もできます。

それが好きを仕事にして長く続けられる人とそうでない人の違いだと考えています。

佐藤
佐藤
今日は大変貴重なお話ありがとうございました!

 

小林勉さんのお店
心斎橋のイノベーティブレストラン「KOBAYASHI」

大阪市中央区東心斎橋 1-14-21 川村ビル1F