小さい頃から「料理」と「人を喜ばせること」が大好きで、
イタリア料理の本場トスカーナで修行し、在ケニア日本大使公邸料理人などを経て、
現在は『イノベーティブレストラン「KOBAYASHI」』を経営されている小林勉さん。
「料理人を目指す人」や、「好きなことを仕事にしたい人」がどのように行動をしていけば良いのか、その秘訣を伺いにインタビューをしました。
小さい時からそれで育って、市販のお菓子とか食べたことがなかったんです。
そこから料理に興味を持つようになって、家庭科で料理の授業があった後に、友達の家で復習して遊んだり、料理本に載っている料理を一通り自分で作ってみるなどしていました。
パッチワーク、刺繍、シルバニアファミリー、リカちゃん人形とか(笑)
そんな感じで料理も楽しんでいました。
でも、お菓子を作るための道具って値段が高いんですね。
それで、新聞配達をしてお金を稼いで、それで道具を買って作っていたりしました。
そういったことから将来は料理人を目指したいと思うようになったんですね。
それでいざ、料理人として修業を始めたら、給料は安いし、長時間労働だし、殴られたりするし(笑)
それで、『これはマズい、変えなアカン』と思って、料理人を目指すだけではなく、料理人の待遇改善というか、料理人の社会的地位の向上を目指す活動もしたい、と思うようになりました。
だから僕はその環境を変えたいと思うんです。
料理が好きなら、その料理だけをとことんやれる環境で、しかも80歳くらいまで長く働けて、お金もしっかり儲かる。
そんな仕組みを作っていかなければならない。
これですと労働時間も比較的、短く済みますし、高い売上も出せると思いますが、これは「新しい仕組み作り」の一環なのでしょうか?
でも、僕のような無名で普通のシェフがこれで生活できたら、1つの良い事例になれますし、「自分にもできる」と思ってもらえると思います。
このお店は8.5坪ですが、そこで10店舗くらいのバーチャルレストランをやっています。
UberEatsという新しい仕組みを使えば、そういったこともできるんです。
メインの高単価レストランにじっくり取り組んで、予約が入らない日であれば、Uber Eatsで稼ぐ。
そんなふうに、新しいサービスを積極的にどんどん取り入れています。
好きな事をやりたいのであれば、それを実現するための方法を常に考える。これが大事だと思っています。
「料理人はキツいし給料も安いし、独立しても大変」というイメージがあります。
それで夢を断念する人も多いのではないでしょうか。
料理人を目指す人は調理の専門学校に通い、レストランで修行し、お金を貯めて独立、というのがスタンダードではありますが、これを変えていきたい。
もちろん、そうしたいというのであれば全然構いませんが、僕は3回ぐらいしか行かずに辞めました。
調理師免許だって、学校へ行かなくても1万円くらい払って学科試験を受けたら取れますし。
僕はそうして、ずっと現場で働いています。
料理の技術なんて、Youtubeで学んで自分で身につければいい。
器選びとか、お店の空間作り、会話のキャッチボールとか、そういった、「センス」を磨き続けることをした方がずっといいです。
給料をもらって修行するのではなく、こちらからお金払って、暴力、きつい言葉なしに、丁寧に教えてもらうんです。
そうやって3か月くらい、何軒か経験させてもらえば、もうそれでお店は自分でできます。調理の専門学校に行くよりも遥かに安上がりです。
ネット環境があれば、借りるお店を探すこともできます。
オンラインで動画を流して料理教室をやったり、
UberEatsでバーチャル店舗をやったり、
SNSで希望者を募って料理人育成で収入を複線化したり、
と今までにはなかった色んなやり方で収入を得られますよね。
その中で、自分の好きなことをやっていけば良いと思っています。
レシピなんて今の時代はすぐに拡散されますし、それなら家で食べる、となりますからね。
なので、料理の美味しさを「さらに美味しく感じてもらうにはどうすればいいか」の技術を身につける必要があります。
同じ料理でも暗闇で食べるのと、好きな人、海辺で食べるのは全然違いますよね。
どうやってもっと美味しく感じてもらうか、です。
それにはお客様とのコミュニケーションもそうですし、常連のお客様であれば、好みの服装やお花、好きな旅行先など、そういったのをしっかりと把握して、トータルでアドバイスできるような「あそこにいくと自分の好みがたくさんある」と言えるようになることを目指していくと良いと思います。
最後に、好きなことを仕事にしていきたい人にアドバイスはありますか?
お客様が喜んでくれたり、感謝してくれたりしたその結果が、お金として返ってくるわけですから、人を喜ばすことの本質を忘れないで欲しいと思います。
そこを根本に据えれば、アイデアも浮かんできますし、試行錯誤もできます。
それが好きを仕事にして長く続けられる人とそうでない人の違いだと考えています。
小林勉さんのお店
「心斎橋のイノベーティブレストラン「KOBAYASHI」」
大阪市中央区東心斎橋 1-14-21 川村ビル1F